小児アトピー性皮膚炎

私が小さい頃はあまり見ることがなく、今大変良く見られる病気の一つにアトピー性皮膚炎があります。
アトピーは今なお詳細が良くわかっていない病気のために、乳幼児を持つお母さん方は病名をアトピーと申し上げると 少し過敏な反応をされる方があります。

個人的には父は気管支喘息で長く苦しみましたし、子供たちは今なお成人型アトピーに悩まされていますので、そのことが 私が皮膚科治療を始める動機ともなったしアトピーの子を持つ親御さんの気持ちも良くわかります。

小児アトピー性皮膚炎は生下時に発疹をみることはきわめてまれで、通常生後1~2か月頃より発疹を認めるようになります。
年長になるにつれ軽快 治癒することが多いが、なかには軽快せず徐々に重症化し成人に至る場合や、一時軽快したものの思春期・成人期になって再び 皮疹が再発増悪する症例も多く、その経過には個人差があります。

乳児期では通常、頭部、顔面に初発いたします。
口囲、頬部に赤みの強い丘疹や紅斑が出現し、浸出液を伴ったジクジクした発疹を形成します。
発疹は全体に乾燥性となり細かい鱗屑が認められ鳥肌様に毛孔が目立ち、顔面・頚部や四肢屈曲部位に多く認められます。
乳児脂漏性湿疹との鑑別がしばしば問題となるが、脂漏性湿疹では被髪頭部の発疹が強く、黄色調の脂漏性痂皮を形成することが多いとされています。

幼少児期では、発疹は全体に乾燥性となり、 細かいカサブタが認められ、鳥肌様の毛穴が目立ちます。 発疹は顔面・頚部や四肢屈曲部位に多く認められます。

思春期・成人期では、顔面、頚部、前胸部、項部、上背部、肘窩に好発、すなわち上肢も含めて乳房ラインよりも頭部側 に発疹が偏る傾向があります。
また思春期・成人期の発疹、とりわけ顔面の発疹は、幼小児期に比べ、難治性であることが従来知られています。

治療方針

アトピー性皮膚炎の治療は、お母さん方がステロイド使用を望まないために、可能な限り少ないステロイド外用で行っています。

アレルゲンの回避

食物制限

私自身は食物制限による治療はなるべく行いたくありません。
しかし、生後4か月からはアレルギー試験を行います。
陽性であれば、とりあえず授乳中のお母さんに食物の摂取制限と本人の離乳食からの制限をいたします。
そうしながら良く観察を行い8ヶ月になるのを待ちます。
その後は反応が見られることが稀になりますので積極的食べる食品を増やすように試みます。

ダニ除去・ペット回避

一般的にアトピー皮膚炎の子供さんがおられるご家庭ではダニの駆除をこまめに行うことは大切だと思います
一度飼ったペットを放棄することは感情的にも難しいものですが、なるべくペットは飼わないほうをお勧めしたいです。

スキンケアの重要性

アトピ―性皮膚炎の子供の皮膚はバリアを破壊され、いろんな刺激に弱いのですからそれらの刺激を避ける必要があります。  
排泄物(汗、涙、尿、糞)、泥、砂、石けん、洗剤、細菌などに注意して、水洗いをよくいたしましょう。
痒みを起こす易い衣服は着せないようにしましょう。
皮膚を圧迫すると蒸れて痒みを増します。
痒みが起こっても掻かせないように工夫することは大切ですが、しかりつけるお母さんを時々みますが、子供にとっては 大変つらいでしょうね。
できるところは包帯をしたり、こまめに爪を切ってやったり、快適な空調にしてやったりが必要でしょう。
シャンプーの使用や石鹸の使用を恐れて洗ってやらない方も見受けますが、弱酸性石けんのセバメド製品(当院ショップに置いて有ります)なども試みて良い洗剤だと思います。

薬物療法

痒み止め

痒みによって皮膚を掻き過ぎるのがアトピ―性皮膚炎を悪化させるもとですので、ぜひ痒みを抑える工夫をしてやりたいです。   
抗アレルギー剤の内服や鎮痒消毒軟膏の塗布を行います。

消毒薬

バリアを破壊された皮膚には消毒薬が良いとの報告があります。

保湿薬

アトピ―性皮膚炎の子供は一般的には乾燥肌ですので保湿剤を使用します。

非ステロイド消炎薬・ステロイド外用薬

どうもこの使用には抵抗される方が多いのですが、本人ならびに家族が睡眠不足に陥るほど掻爬する時にはステロイドの使用も必要なのではないでしょうか。